若本規夫さん講演会~人気キャラクターについて
130th同志社EVE 若本規夫氏講演会 レポート
・人気キャラクター『魁!クロマティ高校』メカ沢新一~『ニニンがシノブ伝』音速丸
若本
「まぁ、あれはやっぱり…オーディションなんだけど。やりだしてから、段々あぁいう口調になってきちゃってね。
だからやっぱりその、乗り移っちゃってね。あぁいう・・・キレるとすごいってね。そこだけは、そこだけはそうして、あとはこうなんか…
のんびりしたようなね、空中を飛んでいるような雰囲気を、出せればいいなぁ…と思ったのが、バッチリはまっちゃったという」
(司会 「最終回では、とんでもない事になったと言う話を。若本さんが、もう、男の現場だからと言って…全裸でやる、という風になったと聞きましたが」)
「(笑) 全裸でやろうじゃないか、という話でしょ? 別にやったわけじゃない。
まぁ、でもね。その…声だからって言うんで…声優になりたいという人もいるんだ…面は出ないからね。
声だけでいいじゃないか? 俺だって、やれるよ? うんうん。ってね。やるんだけど。ね?
声だけだからこそ、裸になるつもりでやんないと、出来ないんだよ。うん、まぁ・・・俳優も難しいですよ。
俳優もさらに難しいですけれども、声優だからね、台詞言っていればなんだってなれるんじゃないか、って言う人が…ま、結構多いんだけどね。
やっぱりその…声…で裸になっていくってね。裸になっていかないと、その役にね、とっても、鎧を着て、厚い毛皮を着て、
そういう風になれって言っても、なれないよね。脱ぎ捨てていかないとね。そこまで行かないと、声で一つの役を、作り上げていくってなんてのは出来ないよ。っていう意味合いで、全裸になろう、と言ったんだよ。」
(司会 「時間が許せば、若本さんがアドリブ大魔王対音響監督Jというあたり…」)
「J? お父さんがやっぱり、ディレクターでね。自分の会社持ってて。
大監督です。大ディレクターですね。僕も尊敬してますけど。あっ、あれ、英雄伝説のディレクターだよ。
で、その息子さんなんだよ。英雄伝説のときに遊びに来たんだよね。大学生でね。
で、結局まぁ…お父さんの後を継ぐっていうことでやり始めたのね。
彼が…もう今は一線で忙しくやってますよ? この仕事向いていたんだろうね。…月何本くらい持ってるのかな?やってますけどね。
その人が、ニニンがシノブ伝のディレクターになってね。で、あれはもう僕のね、ようするに…ほとんどアドリブだからね。
全部書き換えてるしね。だからね、台本が…書き換えると、僕が字が下手で、字も大きいもんだから…こう、行間に書くでしょ?
そうすっとね、もう何が何だか、訳分からんことになって、次どこ行くんだって矢印打ってるんだけど、分からなくなっちゃうくらい、アドリブをやりましたね。
その…放送コードにかからない程度の、下ネタもバンバン入れたしね。そうしないと、面白くならないんだよ。
あのまんま、へぇ・はぁ・ふぅ、って言ってたらね。あのー…なんかそれらしい、円盤みたいな形でね、ふにゃってした感じで喋っていたらいいかということではないんでね。
その、アドリブ論って言うとね。これは、僕は持論を一つ持っていましてね。以前それで、ディレクターと大喧嘩した事があるんだけど。まぁ、これは飲みながらだけどね。
結局、お前さんは何で…勝手に台詞を変えるんだ、ってね。言われて。
いや、僕はこういう風に変えないと、この役は表現できないと思ったから、変えたんですよ、って言ってね。
それはお前…ようするに、翻訳の人に失礼じゃないか…と。いや、別に失礼だと思いませんよ。何故か。
翻訳者は、何役もある…20・30の役があったらば、それを一人の人が翻訳するわけだから、当然その…キャラクターの色が薄れてくるんだよね。
それは分かるでしょ? だから、この役はヤクザだからヤクザの人で、と思っても、どうしてもイメージが希薄になる。
だから、例えばAならA、という役が、どういうキャラクターであって、普段どういう生活をしていて、どういう崩れ方をして…どういう口調でいけば、役を適切にだね、的確に表現できるかと。それは、任されているのは声優なんですよ。声優。だから…この役は私がやってるんだから、私が責任を持って、この役を仕上げていくっていう…、義務があるんだから。
僕は今でも変わってない、それはね。バンバン変える。
それで仕事来なくなったらそれでいいんだよ…。
ただまぁ僕らはね、一番こう…下の…仕事をいただく立場だから。でもね、一番下の仕事をいただく訳…だけど、
最終出口は俺だから。最終出口の奴がしっかりしなくちゃね。バックボーン、背中が折れたんじゃあ。逆に言えば、視聴者に失礼じゃない。そう思わない?」
(司会 「そうですね、もう…楽しみにしてますからね。こう…原作の漫画を持って来て、あっ! ここがえらい事に、っていうのは、いつも見させてもらっています。」)
若本 「うん、おそらくそういうのは、ほとんど(尺の関係で)入らなかったと思うよ。」
(司会 「そうですね、今のそうしたお話にもあった、メカ沢・音速丸…あと、雨蜘蛛も入るでしょうか。
その、渋くてコミカルというキャラクター、謎めいたキャラクターで最近、方々から引張りだこの若本さんですが、やはり先ほどのお話にもありましたけれど、
昔からするとイメージが…違う感じに。」)
「そうですね、僕は元来やっぱり…真面目なんですよ。真面目で、芝居も一本線だった。一本の色しか出来なかった。
まぁ、一本の色でピシッっとはまった役はね。だから、CI☆5なんかははまっちゃったんだけど。そういう役は良かったんだけど、ちょっとね…
あの…ねじれたヤツとかね。そういうのは、昔は出来なかったんですよ。で、それはどうすれば脱皮できるかな、ってね。
で…丁度…このままだと痩せ細っちゃうからっていうんで、色んなものを…古典芸能やら、浪曲とか…浪曲も随分通いましたね、3年4年通ったのかな、あそこ。
毎週日曜日ね、1時から5時まで…ま、仕事ある時は行けなかったけど。浅草の木馬亭でね。浪曲の…一つ目から二つ目になって、最後、大トリでね。
こう…1時から5時まで5人くらいやるんですね。それをまぁ、一つ目からずーっと…。
で……はぁー、浪曲ってすごいなぁー、って思ってね。その呼吸とか間とかね。それから出だしとか…
僕はね、時々今…台詞が歌う時あるでしょ?あれ全部、浪曲から来てんだけどね。
でも、別に僕浪曲やったわけじゃない。ただ、そういう呼吸の回し方、空気の出し方っていうのを、よぉーーく見てね。
ま、さすがに大トリ…大トリって分かるよね。一番最後の人ね。大物のね、この人はすごい。そこから、もう…たくさん吸収したしね。
まぁ、歌舞伎座も行ったし…それから、能も通いましたね。別に、やってみようとは思いませんよ。やる必要はない、声優ってのは。よく、呼吸を見れてばいいの。
で、なんか体の動きをちょっと真似てみよう、とかね。そういう研究でいいんだよね。それからね…
オペラも少しやりましたね。オペラ…向こうから来た歌手の人に、発声なんかを教わったり。
あるいは、古武道の呼吸とかね。古神道。そういうのも仙台へ随分通いました。6年間ぐらいね。
仙台の奥地に、泉地区って言うのがあってね。栗駒の麓にあるんですけど、そこにまぁ…これも、本を読んですぐに手紙を書いてね。
ちょっと今から行きますから、って。色々、三日間ぐらい泊まってね。教わったりして。その人とは…今でもお付き合いあるけど…随分、通ってね。
色んな、古神道の…呼吸法をね、息吹行儀作法っていうんだけど、そういうものを教わったりね。それと、祝詞の出し方とかね。随分教わりましたね。
そういうこととか、それからね。もう少し、地べたの…地べたの…この、口調をね、話し方を…、どぉーしてもこれから必要だと思ったからね。
それで…やっぱりこれも本ですよ。新宿の書店でポロッと見たら、『大道芸・口上なんとか』、ってね。
大道芸でね。それで、久保田 尚(くぼた ひさし)…もう亡くなられましたね…7年8年かな。
すぐ! これも手紙書きましてね。で…じゃあ、日曜日に来い、って。鶯谷に来いって。行きましたね。そこで、やっぱり…4年かな?
4年間通って、口上…口調ね。で、実際、客寄せ…僕がやると、全然客集まってこないの。
で、先生がピュッ、ってやって、ピュ~チュルチュルチュル、って話すとね。ヒュ~…って集まってくるのね、人がね。
寄ってらっしゃい、見てらっしゃい、っていくら僕が言ったって、集まってこない。
そういうものを、研究して。…している内に、だんだん、段々、台詞回しが変わってきてね。
で、それが…一応、応用出来てきたのが、投稿特ホウ王国ってね。
うん、あれが一応ちょっと…気れん味が出てきたところなんですね。気配がね。うんまぁ…そんなことがありましたね。
だからね、色んなものをちょっとずつ、声優は極める必要はない。声優はね。そんなもの、一つずつ極めてたら300年400年あっても足りないんだからね?
だから皆さんも、どんな仕事に就いても、他の事も…こう、研究する。…ちょっとずつ、自分に取り入れられないかな、って。
取り入れられるものは、取り入れていく。って言う事ですよね。」
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